余計な情報で乱される襟元から
君が取り出した金平糖の味
風鈴が鳴っている
どこかから焼き鳥の匂いがする
すべて記憶の中で
満ちた潮にのまれていく
海の中から
見上げた夕焼けと花火も
くらげと一緒に落ちていく
深い海の底には
赤い空とパチパチ撥ねる火花が
降り積もって
冷えるのを待つ
くらげの呻きは聞こえず
ただ化学反応を反射して光るので
カモメやチドリが
波間をぱしゃぱしゃと渡っていく
彼らの目がシャッターを押し
映像記録が宇宙ステーションに送られて
ああ今北半球は夏なのかと
季節を置いていった飛行士が
半回転しながら焼き鳥をたべてる