蛇の抜け殻をぶら下げて歩く
しゃぼん玉が飛んでいった先で
指に止まるはずの蜻蛉の目が落ちていく
足の裏に傷はないのに
親不知が追いかけてくる
罪の在りかが空として
奥深くえぐっていくようなロケットのくるぶしが
回転した雲と月に阻まれる
まばたきは三回
木の肌をなでる手つきで
蝉が悲鳴を乾かしている
夏を掘り進み
走っていく過程で
裏返しの憧れを追い越していた
残照 松明 ダムの水
吐くことでしか投影されなかった哀しみが
足元できいろい炎をあげる
肺の中に錆はない
爪をはがそうとするバッタの前歯
蝉の腹は跳ねて
重なった叫び声が攫われていく
どこにも毛布はない
虹の舟底から取り出した箱に
まだ目の開かない子猫が入っている